新規プロジェクトご提案の参考として
(別 紙)
1.マリノフォーラム21が推進する事業
本会は、21世紀の水産業を展望し、民間の優れた技術開発力および地方公共団体等の漁業開発に対する意欲を結集して、わが国200海里水域内における漁場の整備開発並びにつくり育てる漁業についての新技術の開発等を行い、わが国水産業の発展と水産物の安定供給に寄与することを目的としております。なお、本会は平成21年10月1日をもって(社)海外水産コンサルタンツ協会と合併し、国際協力分野についても事業のウイングを拡大することとなりました。
2.技術開発プロジェクトの策定と実施
本会では平成10年度以来、水産庁関係課(増殖推進部研究指導課、漁場資源課、栽培養殖課、漁政部加工流通課、漁港漁場整備部計画課)と連携して、
- (1)漁業団体、企業、県、研究機関、大学等からの提案募集によるニーズの掘り起こし
- (2)水産業の動向、産学官の連携効果、新規性等を踏まえたプロジェクト案の策定
- (3)水産庁事業等への提案と予算の獲得
- (4)技術開発プロジェクトの実施
- (5)水産基盤整備事業等への事業化、民間への技術移転
の手順で諸事業に取り組んで参りました。
平成18年度からは、産学官連携の一層の強化と、近年拡大する競争的資金の獲得を視野に、さらに幅広く優れたプロジェクト案の収集を目指し、会員企業に加えて水産試験場・大学・独法等の産学官連携部門へもプロジェクト案の提示をお願いしております。
3.新規プロジェクト案の募集
本会は今後、特に水産養殖分野を重点とする必要があると考えております。養殖業は、漁獲量122万トン、生産額5,040億円を上げ、これらはわが国漁獲量の21%、生産額の31%を占めるまでに発展して参りました(平成18年度)。しかしながら、漁場の狭隘化、汚染・貧栄養化・温暖化等による生産環境の変化等の課題を抱え、これら課題の解決が求められております。一方、国際的な漁業規制強化、水産物に対する海外ニーズの高まり等により、将来にわたる水産物の安定供給が懸念されております。
養殖業は、異分野を含めた先端技術の導入等により諸課題を克服すれば、近い将来、品質に優れた水産物の安定供給の柱として発展する産業であると考えます。開発が期待される課題として例えば、沖合域・大水深域・北方域等を活用する養殖システム、養殖資機材に付着する汚損生物の排除技術、環境を汚染しない完全循環養殖、富栄養海域の介藻類・ベントス等による環境改変・養殖適地化技術、貧栄養海域の生産力回復技術、磯焼け・温暖化等により減少著しい海藻類の養殖技術、風力・波浪等のエネルギー活用技術、マグロ養殖用EP飼料や自発摂餌システムの開発、飼育環境を改良する微生物資材の開発等を上げることができます。勿論、上記例示に拘るものではありません。各位の柔軟な発想による優れたプロジェクト案のご提示を期待しております。
4.21年度実施事業の内容
本会では平成21年度、以下の事業を推進しております。これら事業の効果的・効率的な推進を図るための関連基盤技術、あるいは事業成果を踏まえた後継技術等につきましてもご提案をお聞かせ頂ければ幸いです。
○ 水産庁補助事業
- ● クロマグロ養殖効率化技術開発事業
- クロマグロ安定供給確保のための、未利用の厳しい海象条件の海域に対応可能な生簀および関連施設の 開発、飼育管理の省力化、効率化のための各種モニタリングシステムの開発、生餌に替わる飼料の開発
- ● 小型マグロ有効利用実証モデル事業
- 小型マグロの有効利用のための、まき網で漁獲されたマグロ幼魚の種苗化技術(種苗輸送、短期養成) の確立、生残率の高いマグロ幼魚の漁獲と輸送技術の開発、高生残率を目指した小型マグロの短期養成 手法の開発
- ● 養殖生産構造改革推進事業
- 5年毎に実施する区画漁業権の一斉切替の機会に、マグロ等養殖業への新規参入や養殖漁場の利用に関 するデータベースを構築、効率的な生産体制への移行を促進するための養殖再生プラン策定支援を目的
- ● 革新的養殖システム開発促進事業
- 無公害型海洋生物付着防止剤を養殖網等に塗布することで、水棲生物の付着を軽減して網の洗浄・交換 作業の周期を長くし生産コストの低減を図る。併せて、監視カメラにより鳥の近接を監視、鳥害を低減する。
○ 提案公募型支援事業
- ● 沖合沈下式養殖-海中給餌システム開発-
- 高波浪耐性のある係留システムと給餌プラットフォーム、沖合沈下生簀群へ直接給餌可能な海中自動給餌システム、沖合沈下生簀内映像の陸上への電送、映像による残餌検出システム等の開発
○ 水産庁等受託事業
- 有明海漁場造成技術開発事業
- 漂流・漂着物処理推進モデル事業
- ノリ養殖における効率的な作業管理システムの技術開発事業
- 大水深に設置する魚礁の設計基準調査のうち、中層浮魚礁回収方法の開発事業
- 水産バイオマスの資源化技術開発事業
- アワビ養殖における半循環型省エネルギー化システムの実証実験